死亡例は,いずれの群の雌雄にも認められなかった.一般状態において,雌雄とも異常はみられなかった.体重では,2000 mg/kg群の雄で異常はみられなかったが,雌で投与後1日に低値がみられた.剖検では,雌雄とも異常はみられなかった.
以上の結果から,2-(4-モルホリニルジチオ)ベンゾチアゾールのLD50値は,雌雄とも2000 mg/kgを上回ると推定される.
2-(4-モルホリニルジチオ)ベンゾチアゾールは,微粉砕後,0.5 %カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液で懸濁して調製した.被験物質の調製に際して,純度による換算を実施した.2〜200 mg/mLの調製液は,冷蔵・遮光条件下で7日間保存後,さらに室温・遮光条件下で24時間保存しても安定性に問題のないことが確認されているが,調製は用時とした.投与に使用した投与検体中の被験物質濃度を測定した結果,被験物質濃度および均一性に問題はなかった.
動物は,室温20〜26 ℃,湿度40〜70 %,明暗各12時間(照明:午前6時〜午後6時),換気回数12回/時に維持されている飼育室で飼育した.検疫・馴化期間中および群分け前の絶食時間中は,ステンレス製ケージを用いて1ケージ当たり5匹までの群飼育とし,群分け後はステンレス製ケージを用いて個別飼育した.飼料は,固型飼料(CRF-1,オリエンタル酵母工業)を自由に摂取させた.ただし,投与前日の夕刻から投与までの約18時間と投与後約6時間まで絶食した.飲料水は,水道水を自由に摂取させた.ただし,群分け時から投与後約6時間までは絶水した.
2-(4-モルホリニルジチオ)ベンゾチアゾールのラット経口投与によるLD50値は10000 mg/kg,マウス経口投与によるLD50値は3000 mg/kgとの情報がある1).そこで,当試験では,2000 mg/kg群を設定した.また,対照として媒体(0.5 %カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液)のみを同容量投与する群を設けた.
体重は,各群で平均値および標準偏差を算出した.その後,F検定による等分散性の検定を行い,等分散であったためStudentのt検定により行った.
一般状態において,いずれの群の雌雄とも異常はみられなかった.
以上のように,2-(4-モルホリニルジチオ)ベンゾチアゾールの雌雄ラットへの1回経口投与により,雌雄とも2000 mg/kg投与しても死亡例は認められず,一般状態および剖検所見に異常はみられなかった.なお,2000 mg/kg群の雌では,体重の一過性の低値がみられた.2-(4-モルホリニルジチオ)ベンゾチアゾールのLD50値は,雌雄とも2000 mg/kgを上回ると推定される.
1) | 大内新興化学工業,未発表. |
連絡先 | |||
試験責任者: | 古橋忠和 | ||
試験担当者: | 長瀬孝彦,内藤一嘉,吉島賢一 | ||
(株)日本バイオリサーチセンター羽島研究所 | |||
〒501-6251 岐阜県羽島市福寿町間島6-104 | |||
Tel 058-392-6222 | Fax 058-392-1284 |
Correspondence | ||||
Authors: | Tadakazu Furuhashi(Study director) Takahiko Nagase, Kazuyoshi Naito, Ken-ichi Yoshijima | |||
Nihon Bioresearch Inc. | ||||
6-104, Majima, Fukuju-cho, Hashima, Gifu, 501-6251, Japan | ||||
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