2−アミノ−5−クロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸の
ラットを用いた急性経口投与毒性試験

Acute Oral Toxicity Study of 2-Amino-5-chloro-4-methylbenzenesulfonic acid in Rats

要約

既存化学物質の安全性を評価するため、2−アミノ−5−クロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸の2,000 mg/kgをラットに強制経口投与し、急性毒性を検討した。

死亡例は雌雄ともに観察期間を通じ、いずれの投与群にも観察されなかった。従ってLD50値は雌雄ともに2,000 mg/kg以上と推定された。

一般状態では、雌雄ともに一過性の下痢および軟便が観察された。

体重では、雌雄ともに投与後1および2週時の測定でいずれも前回の値に比較して全例に増加が認められた。

観察終了時の病理解剖結果では、雌雄ともに肉眼的異常は認められなかった。

緒言

OECDを中心として行われている国際協力による安全性点検評価事業の一環として、既存化学物質で現在十分な安全性資料のない、2−アミノ−5−クロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸の急性毒性を検討するため、CD(SD)系ラットを用いて急性経口毒性試験を実施した。

上記の試験は、OECD毒性試験ガイドライン401(1987年2月24日)に従い、環企研第233号、衛生第38号、63基局第823号(昭和63年11月18日)の「新規化学物質に係る試験及び指定化学物質に係る有害性の調査の項目等を定める命令第4条に規定する試験施設について」に基づいて実施したものである。

方法

1)供試動物

供試したCrj:CD(SD)系ラット(SPF)は日本チャールス・リバー株式会社(神奈川県厚木市)から生後5週齢の雌雄各40匹を平成3年9月2日に購入した。

動物は8日間検疫・馴化飼育した後、6週齢で投与に用いた。投与時の体重は、雄で162〜167g、雌で120〜134gであった。

2)飼育

動物は、温度21〜25℃、湿度45〜65%、換気回数20回/時間、照明度150〜300 lux、照明時間12時間(午前7時点灯、午後7時消灯)に設定された飼育室(W3.6×D10×H2.5m、90m^3)で飼育した。株式会社東京技研サービス(東京都府中市)の自動水洗式飼育機(W745.0×D50.0×H182.0cm)を使用し、金属製網目飼育ケージ(W21.5×D27.5×H19.5cm、飼育ケージ・スペース11,529cm^3)に動物を5匹ずつ収容し飼育した。飼育ケージおよび給餌器は週1回取り換えた。

飼料は、オリエンタル酵母工業株式会社(東京都中央区)製造の固形飼料MFを使用した。

飲水は、水道水を自由に摂取させた。

3)試験群の構成

試験群の構成は、雌雄各1群ずつの計2群とした。

4)用量設定理由

投与量を設定するため、SD系ラットを用い、300、1,000および2,000 mg/kgの3用量を雌雄各3匹に投与した。その結果、死亡例は認められず、毒性が弱いと推定されたため、急性経口毒性試験の投与量の上限である2,000 mg/kgの1用量を設定した。

5)投与液の調製

被験物質の必要量を瑪瑙乳鉢にとり、粉砕した後0.5%カルボキシメチルセルロース・ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社、大阪府大阪市)に懸濁し、20(w/v)%懸濁液を調製した。

6)投与方法

投与経路は、経口投与とした。

投与前16時間絶食させた動物に上述の被験物質懸濁液を胃内に1回強制経口投与した。

投与容量は体重100 g当り1 mlとし、個体別に測定した体重に基づいて算出した。

給餌は被験物質投与後3時間に行った。

7)一般状態の観察

中毒症状および生死の観察は、投与後8時間までは1時間間隔、以後1日2回午前と午後(休日は午前のみ)に行い、その結果を観察所見記録用紙に記録した。

なお、観察期間は投与後14日間とした。

8)体重

体重は投与直前、投与後7および14日に測定した。

9)病理解剖

観察終了時に全個体をエーテル麻酔後放血安楽死させ解剖し、肉眼的病理所見を病理解剖所見用紙に記録した。

結果および考察

1)死亡率およびLD50値(Table 1)

死亡動物は、雌雄いずれの群にも認められず、従ってLD50値は雌雄ともに2,000 mg/kg以上と推定された。

2)一般状態

一般状態の観察で、雌雄ともに下痢および軟便が認められた。

これらの症状は、投与後6から8時間の間に観察され、投与後8-24時間までに回復した。

3)体重

雌雄ともに投与後1および2週時の体重測定でいずれも前回の値に比較して全例に増加が認められた。

4)剖検所見

観察終了時における剖検で、雌雄ともに被験物質投与による影響が示唆される所見は観察されなかった。

連絡先:
試験責任者山本利男
(財)食品農医薬品安全性評価センター
〒437-12 静岡県磐田郡福田町塩新田字荒浜 582-2
Tel 0538-58-1266Fax 0538-58-1393

Correspondence:
Yamamoto, Toshio
Biosafety Research Center, Foods, Drugs and Pesticides (An-pyo Center), Japan
582-2 Shioshinden Arahama, Fukude-cho, Iwata-gun, Shizuoka, 437-12, Japan
Tel 81-538-58-1266Fax 81-538-58-1393