4,4'-イソプロピリデンビス(2,6-ジブロモフェノール)を雌雄のラットに0および2000 mg/kgの用量を1回経口投与した結果,死亡は認められず,一般状態,体重および剖検で異常はみられなかった.本被験物質の半数致死量(LD50値)は雌雄とも2000 mg/kgより大と結論した.
被験物質原体は室温に保存し,試験に供した.被験物質は試験期間中安定であったことを確認した.投与液は冷蔵・暗所に保存し,試験に使用した.
検疫・馴化期間を含めた全飼育期間を通して,温度22 ± 2 ℃,相対湿度55 ± 15 %,換気約12回/時,照明12時間/日(7:00-19:00)に自動調節した飼育室を使用した.
動物は,実験動物用床敷(ベータチップ:日本チャールス・リバー(株))を敷いたポリカーボネート製ケージに1ケージあたり5匹(同性)で収容し,飼育した.動物には,実験動物用固型飼料(MF:オリエンタル酵母工業(株))と,5 μmのフィルター濾過後,紫外線照射した水道水を自由に摂取させた.
投与用量は,予備検討の結果(100,500,1000および2000 mg/kg,動物数:1用量あたり雌雄各2匹),変化は認められなかった.この結果から,本試験では雌雄ともに2000 mg/kgの1用量とし,この他に溶媒(0.1 % Tween 80添加0.5 % CMC-Na水溶液)のみを投与する対照群を設けた.投与液量は10 mL/kgとし,投与直前の体重に基づいて算出した.被験物質は溶媒(0.1 % Tween 80 [DIFCO LABORATORIES]添加0.5 % CMC-Na[関東化学(株)]水溶液)に懸濁調製した.投与前に投与液中の被験物質の均一性および0.4 mg/mLと200 mg/mLの8日間の安定性について確認した.また,各用量群の投与液を分析し,被験物質の濃度が設定通りであることを確認した.
その結果,死亡は認められず,一般状態,体重および剖検で異常は認められなかった.
以上の結果から,本被験物質の半数致死量(LD50値)は雌雄とも2000 mg/kgより大と結論した.
1) | “第15類−プラスチックス添加剤,難燃剤(Fire retardants),ハロゲン系難燃剤,12093の化学商品,”化学工業日報社,東京,1993, p.947. |
連絡先 | |||
試験責任者: | 須藤雅人 | ||
試験担当者: | 伊藤重美,泉孔美子,鈴木美江,増田久美子 | ||
(株)三菱化学安全科学研究所鹿島研究所 | |||
〒314-0255 茨城県鹿島郡波崎町砂山14 | |||
Tel 0479-46-2871 | Fax 0479-46-2874 |
Correspondence | ||||
Authors: | Masato Sudo(Study director) Shigemi Itoh, Kumiko Izumi, Yoshie Suzuki, Kumiko Masuda | |||
Mitsubishi Chemical Safety Institute Ltd., Kashima Laboratory | ||||
14 Sunayama, Hasaki-machi, Kashima-gun, Ibaraki, 314-0255 Japan | ||||
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