以上の結果より,四臭化エタンのラットの経口投与におけるLD50値(95 %信頼限界)は,雄924(792-1070)mg/kg,雌925(775-1105)mg/kgと結論された.
動物は,日本チャールスリバー(株)より搬入した5週齢のSD系[Crj:CD(SD)IGS]ラット(雄:109〜123 g,雌:93〜106 g)を1群雌雄各5匹用いた.ラットは,室温22.0〜22.4 ℃,湿度55〜59 %に制御した飼育室で,ステンレス製金網ケージに2〜3匹ずつ雌雄別に収容し,固型飼料[ラボMRストック,日本農産工業(株)]と水は自由に摂取させた.
投与量設定試験として,雌雄各3匹のラットに,被験物質を630,819,1065,1385および1800 mg/kgで単回経口投与した結果,死亡は,雄で819 mg/kg以上,雌で1065 mg/kg以上の用量で認められた.したがって,本試験の投与量は雌雄とも612,722,852,1005,1186および1400 mg/kg(公比1.18)の6用量を設定し,他に溶媒のみ投与の対照を設けた.投与方法は,投与液量を体重100 g当り1.0 mLとし,テフロン製胃ゾンデおよび注射筒を用いて,動物の胃内に単回経口投与した.ラットは前日の午後5時より投与後3時間まで除餌し,水のみを摂取させた.
観察期間は投与後14日間とし,その間に一般状態の観察および生死の確認を行った. 体重は,観察1(投与直前),4,8および15日に測定した. 剖検は,死亡例は発見後速やかに,生存例は観察期間終了後にエーテル麻酔死させて行った.
体重推移では,観察4日の体重測定において,雌雄の612 mg/kg以上の群で,用量依存的な体重増加の抑制傾向が認められた.観察8および15日の測定では,対照群と同様な体重増加を示した.
剖検では,死亡例で,雄の852 mg/kg以上の群および雌の1005 mg/kg以上の群に,膀胱の尿貯溜が認められた.生存例では,雌雄とも,内部器官の肉眼的変化は認められなかった.
以上の結果から,LD50値(95 %信頼限界)は,雄924(792-1070)mg/kg,雌925(775-1105)mg/kgと結論された.
連絡先 | |||
試験責任者: | 山口真樹子 | ||
試験担当者: | 野田 篤,伊藤雅也 | ||
(財)畜産生物科学安全研究所 | |||
〒229-1132 神奈川県相模原市橋本台3-7-11 | |||
Tel 042-762-2775 | Fax 042-762-7979 |
Correspondence | ||||
Authors: | Makiko Yamaguchi(Study director) Atsushi Noda, Masaya Ito | |||
Research Institute for Animal Science in Biochemistry and Toxicology | ||||
3-7-11 Hashimotodai, Sagamihara-shi, Kanagawa, 229-1132, Japan | ||||
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