雌雄とも死亡は認められず,一般状態にも変化は認められなかった.また,投与後の体重の推移および剖検所見のいずれにも,被験物質の投与に起因すると考えられる変化は認められなかった.
1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタンのLD50は,雌雄とも2000 mg/kgを上回ると推定された.
から入手したロット番号80913,純度99.0 %のものを用い,使用時まで室温にて保管した.
被験物質は,投与当日に日局注射用水(光製薬
,ロット番号:9510AH)を用いて20 %(w/v)の溶液に調製し, 投与検体とした.投与検体中の被験物質は安定であること,および本試験で用いた投与検体には,所定量の被験物質が含有されていたことを確認した.
から購入し,飼育環境への馴化と検疫を兼ねて6日間予備飼育した.試験には,予備飼育中の一般状態に異常が認められなかった個体の中から雌雄各5匹を無作為に選び,5週齢で使用した.全飼育期間を通じて,動物を,金属製金網床ケージに1匹ずつ収容し,温度23.8〜24.5℃,湿度54〜69 %,換気回数約15回/時,照明12時間(7時〜19時)に制御された飼育室で,固型飼料(CE-2,日本クレア
)と水道水(秦野市水道局給水)を自由に摂取させて飼育した.
以上の結果より,本試験の投与量はOECD化学物質試験法ガイドライン〔401〕で規定された限度量である2000 mg/kgとした.投与液量は,体重1 kg当たり10 mLとし,動物をあらかじめ約18時間絶食させた後,投与直前に測定した体重を基に投与液量を算出し,ラット用胃管を用いて強制的に経口投与した.投与は午前10時〜11時の間に行い,給餌は投与後約3時間に行った.
体重は,雌雄とも順調に増加した.また,観察第15日に行った剖検において,いずれの器官および組織にも変化は認められなかった.
以上の結果から,1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタンのラットにおける単回経口投与によるLD50は,雌雄とも2000 mg/kgを上回ると推定された.

| 連絡先 | |||
| 試験責任者: | 大原直樹 | ||
| 試験担当者: | 加藤博康,代田眞理子,松本亜紀,神谷幸男,稲田浩子,永田伴子,畔上二郎,三枝克彦,安生孝子 | ||
| (財)食品薬品安全センター 秦野研究所 | |||
| 〒257-8523 秦野市落合 729-5 | |||
| Tel 0463-82-4751 | Fax 0463-82-9627 | ||
| Correspondence | ||||
| Authors: | Naoki Ohara(Study Director) Hiroyasu Katoh, Mariko shirota, Aki Matsumoto, Yukio Kamiya, Hiroko Inada, Tomoko Nagata, Jiro Azegami, Katsuhiko Saegusa, Takako Anjyo | |||
| Hatano Research Institute, Food and Drug Safety Center | ||||
| 729-5 Ochiai, Hadano-shi, Kanagawa, 257-8523, Japan | ||||
| Tel +81-463-82-4751 | FAX +81-463-82-9627 | |||