雄において,34 mg/kg投与群の1例および50 mg/kg投与群の4例が投与日に死亡した.50 mg/kg投与群では自発運動の減少,体温低下,半眼あるいは閉眼がみられ,死亡例には歩行失調,間代性痙攣,流涎,緩徐呼吸等もみられた.23および34 mg/kg投与群でも半眼あるいは閉眼が認められた.34および50 mg/kg投与群の生存例では,観察第2日に体重の減少あるいは増加抑制がみられ,その後は体重増加がみられた.
雌においては,23 mg/kg投与群で半眼あるいは閉眼および体重増加抑制が認められた.
剖検では,雌雄全例で特記すべき変化は見られなかった.
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの雄でのLD50値は,34 mg/kgから50 mg/kgの間であると判断された.
投与検体の調製は,供給物質を局方注射用水(製造番号:9707SA,光製薬(株))で希釈し,被験物質濃度として0.25 w/v%溶液を調製し,これを注射用水により段階希釈して各濃度の水溶液を調製した.調製は投与日に行った.各投与検体中の含量を測定した(99.5〜101 %).
全飼育期間を通じ,動物を金属製金網床ケージに1匹ずつ収容し,温度23〜25 ℃,湿度50〜65 %,換気回数約15回/時,照明12時間(7時〜19時点灯)に設定された飼育室で,固型飼料s(CE-2,日本クレア(株))および水道水(秦野市水道局給水)を自由に摂取させて飼育した.
投与容量は体重1 kg当たり20 mLとし,動物を約18時間絶食させた後,投与直前に測定した体重を基に投与液量を算出し,ラット用胃管を用いて強制的に単回経口投与した.
体重は生存例について,投与直前,観察第2,4,8,11および15日に測定し,死亡例については死亡発見時に測定した.
剖検は,死亡例は発見時に,生存例では観察第15日にペントバルビタールナトリウム麻酔下で放血屠殺して実施した.
死亡例では自発運動の減少,体温低下,半眼あるいは閉眼がみられ,50 mg/kg投与群の死亡例では歩行失調,間代性痙攣,流涎,緩徐呼吸等もみられた.生存した50 mg/kg投与群の1例および34 mg/kg投与群の3例にも半眼あるいは閉眼,自発運動の減少,体温低下,間代性痙攣等がみられ,23 mg/kg投与群の雄4例にも半眼あるいは閉眼が観察された.これらの症状は投与量の増加に伴って発現時間が早く,持続時間も長い傾向がみられた.10および15 mg/kg投与群では,一般状態に変化はみられなかった.
体重では,34 mg/kg投与群の3例および50 mg/kg投与群の生存した1例では,観察第2日に体重の減少あるいは増加抑制がみられ,その後体重は増加したが,観察第15日における体重は他の低用量投与群の平均体重には至らなかった.
雌では,23 mg/kg投与群において,1例に半眼および閉眼,観察第2日に体重減少が認められた.
剖検では,雌雄いずれの器官・組織にも変化は認められなかった.
以上の結果から,雌雄で明らかな感受性の差はないものと判断され,テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの雄ラットにおける単回投与によるLD50値は,34 mg/kgから50 mg/kgの間であると判断された.
連絡先 | |||
試験責任者: | 永田伴子 | ||
試験担当者: | 勝村英夫,松本浩孝,堀内伸二,三枝克彦,稲田浩子,安生孝子 | ||
(財)食品薬品安全センター秦野研究所 | |||
〒257-8523 神奈川県秦野市落合729-5 | |||
Tel 0463-82-4751 | Fax 0463-82-9627 |
Correspondence | ||||
Authors: | Tomoko Nagata(Study director) Hideo Katsumura, Hirotaka Matsumoto, Shinji Horiuchi, Katsuhiko Saegusa, Hiroko Inada, Takako Anjo | |||
Hatano Research Institute, Food and Drug Safety Center | ||||
729-5 Ochiai, Hadano-shi, Kanagawa, 257-8523, Japan | ||||
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