4-メチル-1-ペンテンの300および2000 mg/kgを1群3匹のCrj:CD(SD)IGS雌ラットに単回経口投与した時の毒性の概要を検討し,以下の成績を得た. 一般状態,体重推移および剖検所見のいずれにおいても被験物質投与に関連した変化は認められなかった. 以上のことから,本試験条件下において4-メチル-1-ペンテンはGHS(Globally Harmonized Classification System)のCategory 5(>2000-5000 mg/kg)に属すると結論された.
4-メチル-1-ペンテン〔ロット番号:3B24A,純度: 98.36 %,提供者:三井化学(山口)〕は,沸点が54℃,蒸気圧が35.6 kPa(267 mmHg)/25℃,融点が-154℃,比重が0.664(20/4℃),蒸気密度が2.9(空気=1),引火点が-25℃,発火点が300℃,溶解性が水にほとんど不溶等の物理化学的性状を示す無色透明の液体である.4-メチル-1-ペンテンは強酸化剤と接触すると激しい反応が起こりうる引火性の物質であることから,受入後は直射日光を避け,火気,熱源より遠ざけて,通風をよくし,蒸気が滞留しないようにして室温,気密条件下で保存した.取り扱いは,眼,皮膚および衣服にふれないように,適切な保護具を着用して行った.4-メチル-1-ペンテンは,水に不溶であることから,媒体にはトウモロコシ油を選択した.
被験物質の調製液中における安定性を分析し,室温保存で8日間安定であることを確認した.投与液は,被験物質を所定の濃度となるように媒体中に混和し,均一化させ速やかに遮光気密容器に入れ,投与に用いた.投与液の調製は用時に4回行った.投与液の各濃度をGC法で分析し,規定の濃度であることを確認した.
試験には,日本チャールス・リバー厚木飼育センター生産のSPF Crj:CD(SD)IGS雌ラットを用いた.6および7週齢の雌ラット各8匹を購入し,馴化飼育後,各3匹を投与前日の体重に基づいて投与日毎に選抜し8週齢で試験に供した.
動物は温度22 ± 3℃,湿度50 ± 20 %,換気回数10〜15回/時間,照明時間8時〜20時に設定された飼育室で,ブラケット式金属製金網床ケージに,群分け前は3匹,群分け後は1匹収容した.飼料はg線照射固型飼料CRF-1(オリエンタル酵母工業)を金属製給餌器により,飲料水は札幌市水道水を自動給水装置により,それぞれ自由摂取させた.
被験物質に関する毒性情報がないため,本試験では300 mg/kgを第1群の投与用量に設定した.
投与後3日までの死亡率に基づいて次回の投与用量を決定した.第1および2群において死亡例がみられなかったことから,第3群には2000 mg/kgを設定した.第3群でも死亡例がみられなかったため,第4群にも2000 mg/kgを設定した.
一晩(17〜18時間)の絶食後,9:30から10:30の間に胃ゾンデを用いて強制的に胃内に5 mL/kgの投与容量で経口投与し,投与後約4時間を経過した時点で給餌を再開した.
全例について動物の生死,外観,行動等を,投与日(0日)の投与直後から投与後1時間までは連続して観察し,以降は投与後2および4時間に観察した.投与後1日から投与後13日までは,午前・午後の1日2回,投与後14日は午前中に1回観察した.
全例について,0日(投与日の投与前),投与後1,3,5,7,10および14日(剖検日)に,電子式上皿天秤を用いて測定した.
全例について投与後14日に体外表を観察後,エーテル麻酔下で腹部大動脈から放血して安楽死させ,全身の器官・組織を肉眼的に観察した.
体重について平均値および標準偏差を算出した.
300および2000 mg/kgのいずれにも投与後14日間に死亡例は認められなかった.
300および2000 mg/kgのいずれにも投与後14日間に毒性徴候の発現は認められなかった.
300 および2000 mg/kgともに順調な体重増加が認められた.
300 および2000 mg/kgともに全例で異常所見は認められなかった.
一般状態,体重推移および剖検所見のいずれにおいても,被験物質投与に関連した変化は認められなかったことから,本試験条件下において4-メチル-1-ペンテンはGHS(Globally Harmonized Classification System)のCategory 5(>2000-5000 mg/kg)に属すると結論された.
連絡先 | |||
試験責任者: | 須永昌男 | ||
試験担当者: | 木口雅夫,平田輝仁,笠原みゆき, 牧野宏美,古川正敏 | ||
(株)化合物安全性研究所 | |||
〒004-0839 札幌市清田区真栄363番24 | |||
Tel 011-885-5031 | Fax 011-885-5313 |
Correspondence | |||
Authors: | Masao Sunaga (Study director) Masao Kiguchi, Teruhito Hirata, Miyuki Kasahara, Hiromi Makino, Masatoshi Furukawa |
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Safety Research Institute for Chemical Compounds Co., Ltd. | |||
363-24 Shin-ei, Kiyota-ku, Sapporo, Hokkaido, 004-0839, Japan | |||
Tel +81-11-885-5031 | Fax +81-11-885-5313 |