1,1-ビス(tert-ブチルジオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンの1000および2000 mg/kgを1群5匹からなる5週齢の雄ラットに,雌ラット5匹には2000 mg/kgを単回経口投与した.媒体対照として,雄5匹にコーン油を投与した.
全投与群で投与日に下痢便あるいは軟便の排泄がみられた.体重の推移および剖検所見には,変化は認められなかった.
1,1-ビス(tert-ブチルジオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンのLD50値は,雌雄ともに2000 mg/kgを上回ると推定された.
投与検体の調製においては,各用量毎に被験物質を秤量し,所定濃度となるようにコーン油(Lot No.V8P7069,ナカライテスク(株))を加えて溶解し,投与時まで冷蔵・遮光下で保存し,調製3日後に使用した.なお,2および20 w/v%に調製した被験物質は,冷蔵,遮光条件下で12日間安定であることを確認した.また,各投与検体の含量を測定した(95.7〜99.9 %).
全飼育期間を通じ,動物を金属製金網床ケージに1匹ずつ収容し,温度23〜25 ℃,湿度50〜65 %,換気回数約15回/時,照明12時間(7時〜19時点灯)に設定された飼育室で,固型飼料(CE-2,日本クレア(株))および水道水(秦野市水道局給水)を自由に摂取させて飼育した.
投与容量は体重1 kg当たり10 mLとし,動物を約18時間絶食させた後,投与直前に測定した体重を基に投与液量を算出し,ラット用胃管を用いて強制的に単回経口投与した.給餌は投与後約3時間に行った.
体重は全例について,投与直前,観察第2,4,8,11および15日に測定した.
剖検は,観察第15日に全例をペントバルビタールナトリウム麻酔下で放血屠殺して実施した.
一般状態では全投与群で投与日に下痢便あるいは軟便の排泄がみられた.また,2000 mg/kg投与群の雄3例では投与日あるいは観察第2日に肛門周囲の汚れが観察された.
体重は,雌雄ともに順調に増加した.
剖検においても雌雄いずれの器官・組織にも変化は認められなかった.
以上の結果から,1,1-ビス(tert-ブチルジオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンのLD50値は,雌雄ともに2000 mg/kgを上回ると推定された.
1) | 三井雅之,古川文夫,鈴木順子,榎並倫宣,西川秋佳,高橋道人,国立衛生試験所報告, 110, 42(1992). |
連絡先 | |||
試験責任者: | 永田伴子 | ||
試験担当者: | 勝村英夫,松本浩孝,堀内伸二,三枝克彦,稲田浩子,安生孝子 | ||
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Correspondence | ||||
Authors: | Tomoko Nagata(Study director) Hideo Katsumura, Hirotaka Matsumoto, Shinji Horiuchi, Katsuhiko Saegusa, Hiroko Inada, Takako Anjo | |||
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