雌雄の被験物質投与群の全例で,被験物質と同様のオレンジ色の便の排泄が観察された.
体重および剖検所見においては,全例で異常所見は認められなかった.
ピグメントオレンジ16のLD50値は,雌雄ともに2000 mg/kgを上回ると推定された.
投与検体の調製においては,被験物質を秤量し,所定濃度となるようにコーン油(Lot No. V8P7069,ナカライテスク(株))を加えて懸濁し,投与時まで室温で保存し,調製日に使用した.なお,本被験物質はいずれの溶媒にも溶解性を示さないため,投与検体の化学分析は不可能と判断し,安定性,含量測定および均一性試験は実施しなかった.
全飼育期間を通じ,動物を金属製金網床ケージに1匹ずつ収容し,温度23〜25 ℃,湿度50〜65 %,換気回数約15回/時,照明12時間(7時〜19時点灯)に設定された飼育室で,固型飼料(CE-2,日本クレア(株))および水道水(秦野市水道局給水)を自由に摂取させて飼育した.
投与容量は体重1 kg当たり10 mLとし,投与液量は投与前約18時間絶食させた後,投与直前に測定した体重を基に投与液量を算出し,ラット用胃管を用いて強制的に単回経口投与した.給餌は投与後約3時間に行った.
体重は全例について,投与直前,観察第2,4,8,11および15日に測定した.
剖検は,観察第15日に全例をペントバルビタールナトリウム麻酔下で放血屠殺して実施した.
媒体対照群では,雄全例で粘液便の排泄がみられ,被験物質投与群では,被験物質と同様のオレンジ色の便の排泄が,投与後約5時間に雄1例で,観察第2日に雌雄全例で観察された.
体重では雌雄の全群で観察期間中順調な体重増加がみられ,雌雄ともに媒体対照群と被験物質投与群との間に明らかな差は認められなかった.
剖検では,雌雄全例の器官・組織に異常所見は認められなかった.
以上の結果から,ピグメントオレンジ16のLD50値は,雌雄ともに2000 mg/kgを上回ると推定された.
1) | “NPIRI Raw Materials Data Handbook,” Vol.4, ed. by J. M. Fetsko, Lehigh University, Pennsylvania, U. S. A., 1983, p.24. |
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試験担当者: | 勝村英夫,松本浩孝,堀内伸二,三枝克彦,稲田浩子,安生孝子 | ||
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Authors: | Tomoko Nagata(Study director) Hideo Katsumura, Hirotaka Matsumoto, Shinji Horiuchi, Katsuhiko Saegusa, Hiroko Inada, Takako Anjo | |||
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