その結果,雌雄全例において観察初期に糞便および尿の黄色化が観察されたが,その他には一般状態の変化はみられなかった.また,体重の推移についても,全例とも順調な増加を示した.剖検所見でも,全例に著変は認められなかった.
以上の結果より,本試験条件下におけるディスパーズイエロー42のLD50値は,雌雄ともに2000 mg/kgを上回ると判断された.
投与検体の調製は,ディスパーズイエロー42を,0.5 %カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液(日本薬局方カルメロースナトリウム:丸石製薬(株),ロット番号6Z09; 日本薬局方注射用水:光製薬(株),製造番号9707SA)に懸濁して20 w/v%懸濁液を調製し,翌日の投与時まで冷蔵,密封,遮光下で保存した.なお,供給物質中のディスパーズイエロー42濃度が68 %であったため,供給物質濃度を29.4 w/v%として調製し,所定含量の投与検体を得た.また,動物試験に先立ち,安定性試験を実施した結果,被験物質の2および20 w/v%懸濁液について,冷蔵,遮光条件下における調製後8日間の安定性が確認された.さらに,投与検体中の被験物質の含量および均一性を測定した結果,規定範囲内にあることを確認した.
全飼育期間を通じ,動物を金属製金網床ケージに1匹ずつ収容し,基準温度22〜25 ℃,基準湿度50〜65 %,換気回数約15回/時,照明12時間(7時〜19時点灯)に制御された飼育室で,固型飼料(CE-2,日本クレア(株))および水道水(秦野市水道局給水)を自由に摂取させて飼育した.
投与容量は体重1 kg当たり10 mLとし,動物を投与前日より絶食させた後,投与直前に測定した体重を基に投与液量を算出し,ラット用胃管を用いて強制的に単回経口投与した.給餌は投与約3時間後に開始した.
観察第2日には,尿の色調は全例とも正常に復した.糞便の色調については,全例において正常色と黄色を呈するものとが混在していた.観察第3日以後は,全例において一般状態の変化はまったくみられなかった.
排泄物が一過性の黄色化を示した変化は,投与検体の色調によるものとみなされる.
以上の結果より,本試験条件下ではディスパーズイエロー42の投与に起因する明らかな毒性変化は認められず,そのLD50値は,雌雄ともに2000 mg/kgを上回ると判断された.
連絡先 | |||
試験責任者: | 吉村愼介 | ||
試験担当者: | 関 誠,田子和美,森村智美,松本浩孝,内山一豊,丸茂秀樹,堀内伸二,野口早苗,内藤由紀子,三枝克彦,加藤初美,稲田浩子,安生孝子,大八木豊彦,奥山光伸 | ||
(財)食品薬品安全センター秦野研究所 | |||
〒257-8523 神奈川県秦野市落合729-5 | |||
Tel 0463-82-4751 | Fax 0463-82-9627 |
Correspondence | ||||
Authors: | Shinsuke Yoshimura (Study Director) Makoto Seki, Kazumi Tago, Tomomi Morimura, Hirotaka Matsumoto, Kazutoyo Uchiyama, Hideki Marumo, Shinji Horiuchi, Sanae Noguchi, Yukiko Naitoh, Katsuhiko Saegusa, Hatsumi Katoh, Hiroko Inada, Takako Anjo, Toyohiko Ohyaghi, Mitsunobu Okuyama | |||
Hatano Research Institute, Food and Drug Safety Center | ||||
729-5 Ochiai, Hadano-shi, Kanagawa, 257-8523, Japan | ||||
Tel +81-463-82-4751 | Fax +81-463-82-9627 |