雌雄いずれの群においても死亡例は認められず,その他,一般状態に変化は認められなかった.また,投与後の体重の推移および剖検所見のいずれにも,被験物質投与に起因すると考えられる変化は認められなかった.
),純度93.7-100.0 %(エステル価198-212より換算)のものを用いた.受領した被験物質は,使用時まで被験物質受領保管室または検体調製室で室温にて保管した.
コーン油(ナカライテスク
,ロット番号V6N3521)を用いて調製した被験物質の20 %(w/v)溶解液の冷蔵遮光での4日間の安定性は本試験に先立ち実施した予備試験で確認された.また,本試験で用いた投与検体の含量は,調製指示濃度の99.6 %であった.
から購入し,飼育環境への馴化と検疫を兼ねて6日間予備飼育した.試験には,予備飼育中の一般状態に異常が認められなかった個体の中から雌雄各10匹を使用した.動物を検疫終了時の測定体重をもとに体重別層化無作為抽出法により雌雄ともに1群5匹からなる2群に分けた.全飼育期間を通じて,動物を,金属製金網床ケージに1匹ずつ収容し,温度24〜25.5℃,湿度51〜64 %,換気回数約15回/時,照明12時間(7時〜19時)に制御された飼育室で,固型飼料(CE-2,日本クレア
)と水道水(秦野市水道局給水)を自由に摂取させて飼育した.
以上の結果より,本試験の投与量をOECD化学物質試験法ガイドライン〔401〕による限度量である2000 mg/kgとした.また,予備試験において認められた一過性の下痢便がコーン油に起因すると考えられるため,溶媒対照群を設けた.投与液量は,体重1 kg当たり10 mLとし,動物をあらかじめ約18時間絶食させた後,投与直前に測定した体重を基に投与液量を算出し,ラット用胃管を用いて強制的に経口投与した.投与は午前10時〜12時の間に行った.
一般状態の変化としては,軟便または粘液性下痢便が2000 mg/kg投与群の雄で投与後2から6時間に3例,雌で投与後30分から2時間に2例認められた.しかし,軟便や粘液性下痢便は,コーン油を投与した溶媒対照群においても,投与後30分から6時間に雌雄各4例で認められた.その他には観察終了日まで雌雄いずれにおいても一般状態の変化は認められなかった.
以上の結果より,ジトリデシルフタレートのラットにおける単回経口投与によるLD50は,雌雄とも2000 mg/kgを上回ると推定された.
| 連絡先 | |||
| 試験責任者: | 大原直樹 | ||
| 試験担当者: | 関 剛幸,和田和義,桑形麻樹子,宮原 敬,永田伴子,畔上二郎,三枝克彦,稲田浩子,安生孝子 | ||
| (財)食品薬品安全センター 秦野研究所 | |||
| 〒257-8523 秦野市落合 729-5 | |||
| Tel 0463-82-4751 | Fax 0463-82-9627 | ||
| Correspondence | ||||
| Authors: | Naoki Ohara(Study Director) Takayuki Seki, Kazuyoshi Wada, Makiko Kuwagata, Takashi Miyahara, Tomoko, Nagata, Jiro Azegami, Katsuhiko Saegusa, Inada Hiroko, Takako Anjyo | |||
| Hatano Research Institute, Food and Drug Safety Center | ||||
| 729-5 Ochiai, Hadano-shi, Kanagawa, 257-8523, Japan | ||||
| Tel +81-463-82-4751 | FAX +81-463-82-9627 | |||
