観察期間中,供試動物に死亡はなかった.また,一般状態,投与後の体重の推移および剖検所見のいずれにも,被験物質の投与に起因すると考えられる変化は認められなかった.
から入手したロット番号60805X,純度85.9 %のものを用い,使用時まで室温にて保管した.
被験物質は,投与当日にコーン油(ナカライテスク
,ロット番号:V6H2050)を用いて20 %(w/v)の懸濁液に調製し投与検体とした.投与検体中の被験物質は,均一,かつ,安定であること,および本試験で用いた投与検体には,所定量の被験物質が含有されていたことを確認した.
から購入し,飼育環境への馴化と検疫を兼ねて6日間予備飼育した.試験には,予備飼育中の一般状態に異常が認められなかった個体の中から雌雄各10匹を使用した.動物を検疫終了時の測定体重をもとに体重別層化無作為抽出法により雌雄ともに1群5匹からなる2群に分けた.全飼育期間を通じて,動物を,金属製金網床ケージに1匹ずつ収容し,温度23.3〜24.3℃,湿度54〜68 %,換気回数約15回/時,照明12時間(7時〜19時)に制御された飼育室で,固型飼料(CE-2,日本クレア
)と水道水(秦野市水道局給水)を自由に摂取させて飼育した.
以上の結果より,本試験の投与量はOECD化学物質試験法ガイドライン〔401〕で規定された限度量である2000 mg/kgとした.また,予備試験において認められた一過性の軟便排泄が溶媒として用いたコーン油に起因すると考えられたため,溶媒対照群を設けた.投与液量は,体重1 kg当たり10 mLとし,動物をあらかじめ約18時間絶食させた後,投与直前に測定した体重を基に投与液量を算出し,ラット用胃管を用いて強制的に経口投与した.投与は午前11時14分〜11時30分の間に行った.
一般状態の変化としては,軟便の排泄が2000 mg/kg投与群の雌雄各4例に投与後30分から6時間まで認められた.しかし,コーン油を投与した溶媒対照群においても,雄全例および雌4例に同様の変化が同時間内に認められた.従って,この変化は溶媒摂取によるものであり,被験物質の毒性を示唆する変化ではないと判断した.
体重は,雌雄各群とも順調に増加した.また,観察第15日に行った剖検において,いずれの器官および組織にも変化は認められなかった.
以上の結果から,ドコサン酸のラットにおける単回経口投与によるLD50は,雌雄とも2000 mg/kgを上回ると推定された.


| 連絡先 | |||
| 試験責任者: | 大原直樹 | ||
| 試験担当者: | 関 誠,太田 亮,渡辺千朗,関野早苗,稲田浩子,永田伴子,畔上二郎,三枝克彦,安生孝子 | ||
| (財)食品薬品安全センター 秦野研究所 | |||
| 〒257-8523 秦野市落合 729-5 | |||
| Tel 0463-82-4751 | Fax 0463-82-9627 | ||
| Correspondence | ||||
| Authors: | Naoki Ohara(Study Director) Makoto Seki, Ryo Ohta, Chiaki Watanabe, Sanae Sekino, Hiroko Inada, Tomoko Nagata, Jiro Azegami, Katsuhiko Saegusa, Takako Anjyo | |||
| Hatano Research Institute, Food and Drug Safety Center | ||||
| 729-5 Ochiai, Hadano-shi, Kanagawa, 257-8523, Japan | ||||
| Tel +81-463-82-4751 | FAX +81-463-82-9627 | |||