病理学検査の結果,剖検では被験物質投与の影響が示唆される病変は観察されなかった.組織学検査では雄の30および100 mg/kg群で前胃の扁平上皮増生が,また,30 mg/kg群で前胃粘膜下組織の水腫がそれぞれ発生数の増加を示し,被験物質投与の影響が示唆された.100 mg/kg群で不妊動物が多数認められたが,これらの動物の精巣および卵巣ならびに精巣上体,精嚢,前立腺,子宮および下垂体には剖検所見および組織所見ともに不妊の原因と考えられる形態学的な異常所見は観察されなかった.さらに,対照群および100 mg/kg群の精巣についてステージ�軸�精細管の精上皮細胞数を測定した結果,被験物質投与の影響は認められなかった.
以上の結果から,本試験条件下におけるメタクリル酸2,3-エポキシプロピルエステルの反復投与毒性に関する無影響量(NOEL)は雄で10 mg/kg/day,雌で30 mg/kg/dayと考えられた.また,雄の生殖に及ぼす影響は100 mg/kg/day投与により精子活力の低下に起因すると考えられる授胎能の低下が認められ,無影響量(NOEL)は30 mg/kg/dayと考えられた.雌の生殖に及ぼす影響は追加実験の結果から100 mg/kg/day投与により受胎能に若干の影響が認められ,無影響量(NOEL)は30 mg/kg/dayと判断された.児動物の発生・発育に及ぼす影響は,100 mg/kg/day投与によっても認められず,無影響量(NOEL)は100 mg/kg/dayと考えられた.
被験物質は,コーンオイル(ナカライテスク(株)製)に溶解し,0.2,0.6および2(w/v)%の濃度になるよう各群の投与液を調製した.調製後は,使用時まで冷暗条件下で密閉保管した.調製液中の被験物質は,0.2(w/v)%溶液の場合冷暗条件下で少なくとも8日間安定であることを確認した.
投与液の濃度および均一性の分析は,調製開始時に調製した各群のバッチから無作為にサンプルを抽出し実施した.その結果,濃度は設定濃度の94.0〜104%の範囲で調製されており,変動係数は1.9%以下であった.したがって,投与液にはほぼ所定量のメタクリル酸2,3-エポキシプロピルエステルが含有されており,適切に混合されていたことを確認した.
動物は,温度24±2℃,湿度55±10%,換気回数15回/時間,照度150〜300 lux,照明時間12時間(午前7時点灯,午後7時消灯)に設定されたバリアシステムの飼育室でアルミ製前面・床ステンレス網目飼育ケージに1匹ずつ収容し飼育した.妊娠18日以降の母動物は哺育4日までアルミ製前面・床ステンレス網目飼育ケージに哺育トレーおよび巣作り材料(アルファードライ)を入れて飼育した.
飼料は,オリエンタル酵母工業(株)製造の NMF固型飼料(放射線滅菌飼料)を使用し,飼育期間中自由に摂取させた.飲水は,水道水を自由に摂取させた.
投与容量は,体重100 g当り0.5 mlとし,交配前および交配期間中の雌雄では,個体別に測定した最新体重に基づいて算出を行った.また,妊娠期間および哺育期間中の雌は,妊娠0,7,14,21および哺育0日に測定した個体別体重に基づいて算出を行った.胃ゾンデを用いて毎日1回(7日/週)強制経口投与した1).対照群にはコーンオイルのみを同様に投与した.
雄の投与期間は,交配前14日間と交配期間14日間および交配期間終了後17日間の連続45日間とした.雌の投与期間は,交配前14日間と交配期間中(最長10日間)ならびに交尾成立雌の妊娠期間を通じて分娩後の哺育3日まで(41〜45日間)とした.なお,妊娠が成立しなかった雌は妊娠25日の解剖前日までの40〜47日間とした.
なお,対照群の1例に交配10日の交尾の確認時に妊娠徴候が認められたため,交配を中止し,交尾率および受胎率の集計からは除外した.
新生児は哺育0日に出産児数(生存児+死亡児)を調べ,性別を判定するとともに外表異常の有無を調べた.また,哺育0および4日に雌雄個体別の重量を測定し,1腹の雌雄別平均体重を算出した.
哺育4日の新生児の同腹児重量を測定後に新生児全例をエーテル麻酔により安楽死させ,主要器官の肉眼観察を行った.なお,哺育期間中の死亡児についても同様に主要器官の肉眼観察を行った.また,新生児の4日の生存率[(哺育4日生児数/出産生児数)× 100〕を求めた.
a) 血液学検査
検査はEDTA-3Kを添加した初血について,THMS H・1E(米国マイルス社)を用いて白血球数(WBC:暗視野板法),赤血球数(RBC:暗視野板法),ヘマトクリット値(HCT:全赤血球の容積により補正),ヘモグロビン量(HGB:シアンメトヘモグロビン法),平均赤血球容積(MCV:暗視野板法),平均赤血球血色素量(MCH:HGB,RBCより算出),平均赤血球血色素濃度(MCHC:HGB,HCTより算出),血小板数(PLT:暗視野板法)および白血球百分率(フローサイトケミストリー法)を測定した.白血球百分率は前述の機器で測定したが,別途血液塗末標本を作製し,メイ・グリュンワルド・ギムザ染色して保管した.網赤血球(RC)比率の算定については,EDTA-3K添加血液をニューメチレンブルーで染色後,血液塗末標本を作製した.各群とも貧血傾向が認められなかったため,標本の観察は行わなかった.
b) 血液凝固能検査
検査にはクエン酸ソーダ添加血液を3000 r.p.m.,13分間遠心分離して得た血漿について,血液凝固測定装置 KC-40(独国アメルング社)を用いてプロトロンビン時間(PT:Quick 1段法),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT:クロット法)およびフィブリノーゲン量(Fibrinogen:トロンビン時間法)を測定した.
c) 血液生化学検査
検査はクリーンシール((株)ヤトロン)に血液を採取し,30分間静置後3000 r.p.m. 7分間遠心分離して得た血清について,多項目生化学自動分析装置CentrifiChem ENCORE��(米国ベーカー社)およびEKTACHEM 700N(米国コダック社)を用いて総蛋白(ビューレット法),アルブミン(B.C.G.法),A/G(計算値),血糖(グルコースオキシダーゼ法),中性脂肪(酵素色素法),総コレステロール(コレステロールオキシダーゼ法),尿素窒素(ウレアーゼアンモニウム指示薬法),クレアチニン(Jaff
法),総ビリルビン(ジアゾ法),グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(IFCC法),グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(IFCC法),γ -グルタミルトランスペプチダーゼ(Orl
wski法),ナトリウム(電極法),カリウム(電極法),塩素(電極法),カルシウム(アルセナゾ�桂�)および無機リン(モリブデン酸青法)を測定した.
�〇猖監以�
剖検では主要器官の肉眼的観察を行い,皮膚,乳腺,リンパ節,唾液腺,胸骨,大腿骨(骨髄を含む),胸腺,気管,肺および気管支,心臓,甲状腺および上皮小体,舌,食道,胃,十二指腸,小腸,大腸,肝臓,膵臓,脾臓,腎臓,副腎,膀胱,精嚢,前立腺,眼球,ハーダー腺,脳,下垂体および脊髄を10%中性緩衝ホルマリン液で固定した.精巣および精巣上体はブアン氏液に固定した.
�⇒再以�
45日間投与した日の夕方から,約16時間絶食をさせた後エーテル麻酔下で採血し安楽死させた.主要器官の肉眼的観察を行った後,脳,胸腺,肝臓,腎臓,脾臓,副腎,精巣および精巣上体重量を測定し器官重量・体重比(相対重量)を算出した.また,全動物の重量測定器官に加えて心臓,胃,精嚢,前立腺,下垂体および肉眼所見として変化が認められた器官・組織としてリンパ節,肺,腹腔の塊および皮下の塊を10%中性緩衝ホルマリン液で固定した.なお,精巣および精巣上体はブアン氏液で固定した.
��自然分娩した雌
哺育4日にエーテル麻酔下で放血安楽死させた.主要器官の肉眼的観察を行った後,脳,胸腺,肝臓,腎臓,脾臓,副腎および卵巣重量を測定し器官重量・体重比(相対重量)を算出した.また,全動物の重量測定器官に加えて心臓,胃および下垂体を10%中性緩衝ホルマリン液で固定した.また,剖検時に黄体数および着床痕数を調べた.
�ぜ�然分娩の認められない雌
妊娠25日に,エーテル麻酔下で放血安楽死させた.剖検では主要器官の肉眼的観察を行った後,皮膚,乳腺,リンパ節,唾液腺,胸骨,大腿骨(骨髄を含む),胸腺,気管,肺および気管支,心臓,甲状腺および上皮小体,舌,食道,胃,十二指腸,小腸,大腸,肝臓,膵臓,脾臓,腎臓,副腎,膀胱,卵巣,子宮,腟,眼球,ハーダー腺,脳,下垂体および脊髄を10%中性緩衝ホルマリン液で固定した.着床痕が認められない動物は妊娠不成立と判定した.
b) 病理組織学検査
�〇猖監以�
雄の10 mg/kg群1例および100 mg/kg群1例の皮膚,乳腺,リンパ節,唾液腺,胸骨,大腿骨(骨髄を含む),胸腺,気管,肺および気管支,心臓,甲状腺および上皮小体,舌,食道,胃,十二指腸,小腸,大腸,肝臓,膵臓,脾臓,腎臓,副腎,膀胱,精嚢,前立腺,精巣,精巣上体,眼球,ハーダー腺,脳,下垂体および脊髄について実施した.
��妊娠を成立させた雄
対照群と高用量群では,脳,胸腺,心臓,胃,肝臓,腎臓,脾臓,副腎および精巣について実施し,低および中用量群では胃について実施した.
��自然分娩した雌
対照群と高用量群では,脳,胸腺,心臓,胃,肝臓,腎臓,脾臓,副腎および卵巣について実施し,低および中用量群では胃および脾臓について実施した.
�でタ韻鮴�立させなかった雄および妊娠不成立の雌
脳,胸腺,心臓,肺,胃,肝臓,腎臓,脾臓,副腎,腟,子宮,卵巣,精巣,精巣上体,精嚢,前立腺,下垂体および腹腔の塊について実施した.
�ダ査抓匹寮詐緘藝挧Δ隆兒�
100 mg/kg群で受胎率の低下が認められたため,通常の病理組織学検査に加え精細管の精上皮細胞の観察を実施した.死亡例を除く対照群および100 mg/kg群全例の精巣からHEおよびPAS染色標本を作製しRussellら2)および高橋ら3)の鑑別法に従いステージ�爾寮査抓匹寮詐緘藝挧�数を測定した.動物毎に各5本のほぼ円形に横断された精細管について,精祖細胞(type A),プレレプトテン期精母細胞,パキテン期精母細胞,ステップ�疾沙匣挧Δ�よびセルトリ細胞数を数え,それぞれの総数からセルトリ細胞1個当たりの細胞数を算出した.
血液凝固能検査では,すべての検査項目について対照群と被験物質投与群との間に差は認められなかった.
雌では,対照群に比べ100 mg/kg群で腎臓の実重量および相対重量が高値傾向を示した.
妊娠を成立させた雄は,対照群,10,30および100 mg/kg群でそれぞれ10,11,11および2例であり,対照群で脾臓の肥大および肝臓の黄色斑/区域が,30 mg/kg群でリンパ節の肥大,胸腺の赤色化および皮下の塊がそれぞれ単発性に認められた.
自然分娩した雌は,対照群,10,30および100 mg/kg群でそれぞれ10,12,11および2例であり,10 mg/kg群で胸腺の赤色化および卵巣の嚢胞が単発性に認められた.
妊娠を成立させなかった雄は,対照群,30および100 mg/kg群でそれぞれ2,1および9例であり,対照群で腹腔の塊が,100 mg/kg群で肺および腎臓の黒色斑/区域がそれぞれ単発性に認められた.
妊娠不成立の雌は,対照群,30および100 mg/kg群でそれぞれ2,1および10例であり,100 mg/kg群で腎臓の瘢痕が1例に認められた.
雄では,前胃の限界縁付近の扁平上皮の増生が30および100 mg/kg群で,前胃粘膜下組織の水腫が30 mg/kg群でそれぞれ対照群に比べ統計学的に有意な発生数の増加を示した.また,腺胃粘膜下組織の水腫が100 mg/kg群で,腺胃の細胞浸潤が30 mg/kg群でそれぞれ対照群に比べ有意な減少を示した.その他,心臓の細胞浸潤,脾臓の色素沈着,腺胃の細胞浸潤,肝臓の小肉芽腫,腎臓の尿細管好塩基化,前胃の水腫・細胞浸潤,肝臓および腎臓のリンパ球浸潤等が各群に複数例に観察されたが,その発生数に対照群と被験物質投与群の間に明らかな差はなかった.
雌では,前胃の細胞浸潤が100 mg/kg群で有意な発生数の増加を示したが,胃のその他の変化には対照群と100 mg/kg群の間に発生数の差はみられなかった.また,脾臓の色素沈着が100 mg/kg群で有意な発生数の増加を示し,脾臓および肝臓における髄外造血が同群で減少した.その他,対照群および100 mg/kg群において肝臓の小肉芽腫が複数例に観察された.
妊娠を成立させなかった雄では,100 mg/kg群の前胃の扁平上皮増生が妊娠を成立させた雄に比べ,病変の程度が強く(9例中6例が中等度)発現した他,100 mg/kg群で前胃の水腫・細胞浸潤・扁平上皮増生,腺胃の再生上皮,リンパ球浸潤などが観察された.その他 100 mg/kg群では,心臓の細胞浸潤ならびに脾臓の色素沈着がやや多い発生数を示した.なお,これらの動物の精巣,精巣上体,精嚢,前立腺および下垂体に不妊の原因と考えられる異常所見は認められなかった.
妊娠不成立の雌では,前胃と腺胃の細胞浸潤が100 mg/kg群で複数例に認められた.また,脾臓の色素沈着が各群の全例に,心臓の細胞浸潤,肝臓の小肉芽腫および前胃の扁平上皮増生が100 mg/kg群で複数例に観察された.なお,子宮水腫が100 mg/kg群で複数例に観察されたがその発生数に対照群との間に明らかな差異は認められず,これら動物の卵巣には異常所見は認められなかった.
性周期観察では,いずれの群もほぼ4〜5日の性周期を示し,平均性周期に群間差は認められなかった.
その他,分娩状態には異常は観察されず,各群の妊娠期間,死産児数はほぼ同様な値を示し,出産率,出生率および新生児の4日の生存率に群間差は認められなかった.
新生児の外表検査では,いずれの群にも外表異常は観察されなかった.哺育期間中の体重では,雌雄ともに群間差は認められなかった.死亡児の剖検では,異常所見は観察されなかった.哺育4日の剖検では雌雄に胸腺の頸部残留が100 mg/kg群を除く各群に散見された他,腎盂拡大が10 mg/kg群の雌雄各1例,肝臓の白色斑/区域が対照群の雌2例にそれぞれ観察された.
体重および摂餌量については,雌雄ともに被験物質投与の影響は認められなかった.
雄の血液学検査および血液凝固能検査では被験物質投与の影響は認められなかった.血液生化学検査では,100 mg/kg群で対照群に比べ総蛋白およびアルブミンが高値を示し,
GPTが低値を示したが,その機序は明らかではなかった.
器官重量では,雌雄の100 mg/kg群で腎臓の実重量および相対重量がともに高値または高値傾向を示した.この変化は,2週間反復投与による予備試験においても同様な変化が認められており被験物質投与によるものと考えられた.雄の10および100 mg/kg群で副腎重量が高値を示したが,30 mg/kg群の値は対照群とほぼ同等であり,病理組織学検査で同器官に異常は認められないことから副腎の重量変化と被験物質投与との関連は明らかではなかった.
病理学検査の結果,剖検所見で観察された所見はいずれも単発性の発生であり被験物質投与の影響が示唆される病変は観察されなかった.組織所見では,前胃の限界縁付近の扁平上皮の増生が雄の30および100 mg/kg群で,前胃粘膜下組織の水腫が雄の30 mg/kg群でそれぞれ対照群に比べ統計学的に有意な発生増加を示した.これらの変化はいずれも本被験物質の持つ刺激性や腐食性から考え,被験物質の胃への直接的な作用と考えられた.また,腺胃粘膜下組織の水腫が100 mg/kg群で,腺胃の細胞浸潤が30 mg/kg群でそれぞれ対照群に比べ有意な減少を示したが,この理由については不明であった.
一方,雌では,前胃の細胞浸潤が100 mg/kg群で多く発生した以外は雄でみられた胃の種々の変化には対照群と100 mg/kg群の間に発生数の差はみられなかった.しかし,脾臓の色素沈着が100 mg/kg群で発生数の増加を示し,脾臓および肝臓における髄外造血が同群で減少した.脾臓および肝臓における髄外造血は通常未妊娠動物には認められないことから,発生数の減少は今回100 mg/kg群で不妊動物が多数認められたことによるものであり,被験物質投与とは関連のない変化と考えられた.脾臓の色素沈着の増加についてもこの所見が不妊動物に全例認められたことから同様の変化と考えた.その他の臓器・器官に観察された諸所見については対照群と被験物質投与群の間で発現数に差は認められず,全て自然発生性病変に属するものと考えられた.
妊娠を成立させなかった雄の精巣および妊娠不成立の雌の卵巣には剖検所見および組織所見ともに形態学的な異常所見は観察されず,精巣上体,精嚢,前立腺,子宮および下垂体に不妊の原因と考えられる所見は認められなかった.さらに,精細管の精上皮細胞の観察でも,100 mg/kg群の精祖細胞(type A),プレレプトテン期精母細胞,パキテン期精母細胞,ステップ�疾沙匣挧Δ�よびセルトリ細胞数は対照群に比べ差は認められなかった.
以上のことから,メタクリル酸2,3-エポキシプロピルエステルの反復投与により雄の30および100 mg/kg群で流涎が,さらに雌雄の100 mg/kg群で腎臓重量の高値が認められた.病理組織学検査では雄の30および100 mg/kg群で前胃の扁平上皮増生および水腫の発生数の増加が認められた.したがって,無影響量は雄で10 mg/kg/day,雌で30 mg/kg/dayと判断された.
分娩時観察では妊娠動物の全例が正常に分娩し,妊娠期間にも被験物質投与の影響は認められなかった.100 mg/kg群で妊娠黄体数,着床痕数,出産児数,出産生児数,着床率および分娩率が低値傾向を示したが,例数も少なく本試験の結果からは被験物質投与との関連は明らかではなかった.追加実験において雄に対する影響よりも強くはないが雌の受胎率が低下傾向を示し,被験物質投与の影響を示唆する結果が得られた.しかし,これらの雌の帝王切開成績では,妊娠黄体数,着床痕数および生存胎児数等に被験物質投与の影響は認められなかった.
出産率,出生率および新生児の4日の生存率に群間差は認められず,新生児の外表に異常は認められなかった.また,新生児の体重も哺育4日までに順調に増加し,死亡児および哺育4日の剖検でも被験物質投与による影響は認められなかった.
以上のことから,メタクリル酸2,3-エポキシプロピルエステルの雄の生殖に及ぼす影響は100 mg/kg/day投与により精子活力の低下に起因すると考えられる受胎能の低下が認められ,無影響量は30 mg/kg/dayと判断された.雌の生殖に及ぼす影響は本試験の結果からは100 mg/kg/day投与によっても明らかな影響は認められなかったが,追加実験の結果から100 mg/kg/day投与により受胎能に対する影響が示唆され,無影響量は30 mg/kg/dayと判断された.児動物の発生・発育に及ぼす影響は,100 mg/kg/day投与によっても認められず,無影響量は100 mg/kg/dayと判断された.
| 1) | OECD guideline for testing of chemicals:Extended Steering Group Document. Vol.3, 1990. |
| 2) | L. D. Russell, R. A. Ettlin, A. P. S. Hikim and E. D. Clegg, "Histological and histopathological evaluation of the testis," Cache River Press, Florida, 1990, pp.1-118. |
| 3) | 高橋道人,三森国敏,古川文夫,井上実,松井元,"精巣毒性評価のための精細管アトラス," ソフトサイエンス社,1994. |
| 4) | C. G. Shayne and S. W. Carrol, "Statics and Experimental Design For Toxicologists." Telford Press, 1986. |
| 5) | 佐野正樹,岡山佳弘,医薬安全性研究会会報,32,21(1990). |
| 6) | M. Yoshida, J. J. Soc. comp. Stat., 1, 111(1988) |
| 7) | 佐久間昭,"薬効評価��-計画と解析-," 東京大学出版会,東京,1977. |
| 8) | 石居 進,"生物統計学入門," 培風館,東京,1975. |
| 連絡先 | |||
| 試験責任者: | 田中亮太 | ||
| 試験担当者: | 伊藤圭一,大庭耕輔,庄子明徳, 山本慎二,榎本 眞 | ||
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| Authors: | Ryota Tanaka(Study director), Keiichi Ito,Kousuke Oba, Akinori Shoji,Sinji Yamamoto, Makoto Enomoto | ||
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